ほんまかいな~
ワテの大好きなオバチャン、
この寒い夜に
一緒に寝かせてくれはらへんねん。
いっつも、オバチャンの手枕で寝てたのに・・・
何でや!
ワテは、長い、寒い夜を
どないしたらええねんなぁ。
兄さんも、夜中、オバチャンの部屋の前で
哀れな声で、啼いてはるわ。
オバチャンは、夜中
居間にエアコンをつけてくれてるけど
チロロ母子だけが
ヌーヌーと、ポッカポッカで、寝とるわ。
またそれが、むかつくねん、ワテは・・・。
兄さんが、言うにはな、
「コバン、オバチャンは
胃ガンと言う病気や。
人間には、ようある病気やで。
ほんでな、ガンには臭いがあるんや。
コバンは、修行の足らんチャラ男やから
わからんやろうけど
ネコには、その臭いで、ガンちゅう病気が
わかるんやで」
えっ、ほんまかいな。
兄さん、偉いなぁ~。
けど、オバチャン、元気にしとるがな。
「コバン、ここのおっちゃんは
膵臓ガンやったんやで
臭いでわかるようになったら
ネコも一人前や」
そう言うたら、
ワテが、この家の庭にたどり着いた時
優しいオッサンがおったなぁ。
あのオッサンは、何処へ行かはったんかと思ってたんや。
ふ~ん、ワテも
兄さんみたいな偉いネコになれるかな~
そんなことより、
ワテは、早うオバチャンと一緒に寝たいだけや。
昼間に、いっぱい甘えたろ。
アカン、また、兄さんに
オバチャンの膝を取られてしもうたぁ・・・かなんにゃ~
オバチャンが帰ってきたで~
ある日、オバチャンが
フイっと帰って来んようになったんや。
あれ~?何で?
そしたら兄さんが
「オバチャンは、入院したんや」と言うんや。
それ、なんのこっちゃ。
そしたらな、また兄さんが
「猫シッターさんが、来やはるんや」
えっ、猫シッターさん?!
優しいおねえちゃんやったわ。
「コバンちゃん、はじめまして」って言うてくれはるんやで。
ええ感じやなぁ、よっしゃ甘えたろ。
ワテは、シッターさんが行かはるとこ
後ろからついて歩いたんや。
「コバンちゃんは、金魚のフンやな」と
笑たはる、ええねん、フンでも何でも
甘えたいねん、そしたら爪も切ってくれはって、
ブラッシングもしてくれはった、ええなぁ~。
「兄さんもしてもらい」と言うたら
なんでか兄さんは、怒らはって、猫パンチされたわ。
兄さん、シッターさんのことが気になるのに
なかなか素直でないわ。
素直でなかったら、損するで。
シッターさんは、暖かい毛布も敷いてくれはったし
部屋も、ぬくとうしてくれはったで。
もうオバチャン、帰って来んくてもええで。
ほんで、夜中になったら、
チロロ母子が、居間に降りてきて
うっとうしいわ。
チロロが、オカンに甘えよるのがむかつくわ。
ほんで、ワテは、もうオバチャンのことを
忘れそうになってた頃、
突然、オバチャンが、大きな荷物持って帰って来たんや。
兄さんは、びっくりして
ヘンな声で啼くんや。
兄さんもオバチャンのこと、ちょっと忘れてたんと違うか~
なんや、ずっと夢見てたんやろうか。
また、オバチャンに甘えられる日が
戻ってきたわ。
オバチャン、ホンマに病気やったんかぁ。
あっ、兄さんに、オバチャンの膝
取られてしもうた、プンプン。
オバチャンが・・・
ワテの大好きなオバチャンが
ここのとこ、ずっとオカシイねんわ。
夜も一緒に寝てくれへんし、
いつもと違う部屋で、ワテら入れてくれへん。
なんでなん??
オバチャン、どうしたん??
兄さんは、どう思う??
「コバン、よー聴きや
オバチャンは、胃ガンやで
ステージⅢって言うんやで」
それなんじゃ?
美味しいもんか?
「アホか、おまえは~
オバチャンは、病気なんや
この頃、オバチャン、へんな帽子かぶってるやろう」
抗癌剤ちゅうもんで
頭の毛がぬけるんや
もうすぐしたら
オバチャン、病院に行って、帰ってきいひんで」
なんやそれ、ワテにはわからんわ。
ワテら、どないなるん~
「留守番や」
えっ、そんな殺生な~~
確かに、オバチャン、近頃抱っこもしてくれへんし・・・
ほなら、この家に来る優しいマダムに、抱っこしてもらおう
なぁ、抱っこして~
わぁ~い、抱っこしてくれたで。
あっ、この人、オッサンやった、
まぁ、抱っこしてくれたら、誰でもええわ。
けど、やっぱりネーチャンがええなぁ
ほなら、このネーチャンに。
わぁ~い、わぁ~い、
じゃ^^このネーチャンにも、おんぶしてもらおう
このネーチャンにも
抱っこして~
「ふん、なんや、コバンは、
人間にばっかり甘えて、イヤな奴や」
ワシは、オバチャンの膝がええわ、
落ち着くにゃ~
あっ、兄さん、オバチャンを独り占めしとるわ
アカン、アカン、オバチャンは、ワテのオバチャンやで
オバチャンは、誰にもわたさへんで。
オバチャン、病院行くんか、帰って来ひんのか?
ワテ、どないなるんや
今は、何にも考えとこ。
なるようになるやろう。
夏、終わるって~
この頃、チロのオカンは
2階の引きこもり部屋から出て来て、
チロのそばに、寄っていきよるわ。
チロもオカンに甘えとおる。
オカンってええなぁ。
ワテは、オカンって何かわからん。
ワテは、オバチャンがそばにいてくれたら
それでええねんけど・・・。
ワテにも、オカンがおったんかな・・・。
兄さんも
オカンを知らんやろ。
兄さんは、孤児院で育ったんやもんなぁ。
ワテは、オバチャンが居てくれたら
それでええんや。
けど、この頃な、
オバチャンは、
「濃厚接触はアカンで」て、
なにやようわからんこと言うて
抱っこしてくれへんねん。
ワテは、哀しいわ。
ほんで、この間、
お客さんが来やはった時な、
ワテ、そりゃ、マダムの方がええけどな
いや、もう、こうなったら、オッチャンでも何でもええし
「抱っこして~」って甘えたんや。
ほなら、優しいオッチャンや、
抱っこしてくれはったで。
わぁ~い、抱っこしてもろうた!
うれしかったわ。
この頃、夜になったら
虫の声がするなぁ。
オバチャンは
「コバン、もう秋やで」って言うけど
けど、暑いやん。
夏でも秋でも、ワテは、寝るのが商売や。
顔、隠して寝たろ。
ふ~ん、秋っか~。
夏のある日
暑いにゃ、もうたまらんわ。
一番涼しいとこは、ここやん。
兄さんが、ひんやりタイルの場所を取りよるねん
まぁ、しゃーないな。
あれ、なんやオバチャンが
ゴソゴソしてるで・・・
なんや、あれ~~
そう言うたら
この間、オバチャンが
「コバン、ええもん買うたげる」って言うてたな。
ふ~ん、何や、何や・・・
へぇ~、これ何~
暑苦しいなぁ、これ。
こんなん、チロのおもちゃやん。
ワテは、こんな子供じみたもん、いらんわ。
兄さんは、どない思う?
「ワシは、箱のほうがええ!」
くそ暑いのに、兄さんは、箱が好っきゃなぁ~
ワテも、床でええわ。
オバチャン、なんやキャットタワーちゅうもん、買うてくれたけど
ワテら、寄りつかんで。
チロだけ、うれしそうに乗ってるわ。
まぁ、あの子は、まだ子供やしな。
無邪気なもんじゃ。
天下取った気でおるで。
わてらは、窓から入って来る風のほうが、ええもんや。
あっという間に半年過ぎるで~
あんな、ワテ、
なんやようわからん病気になってからなぁ
いっつも憂鬱で、シャキッと出来へん。
暑いし、毛が抜けるし、
おまけにオバチャンの布団で
何回も吐いてから
オバチャン、一緒に寝てくれへんねん。
それにな、
2階で引きこもってたチロのオカンが
1階にも、よう出て来よるねん。
これが、チロのオカン。
姿、見せよったでー。
コワイでー、このオカン。
ワテのこと無視しよるねん。
兄さんもなぁ、不気味や言うて
高いとこへ逃げはるねん。
チロはな、ワテや兄さんの座る場所を
全部テリトリーにしてしまいよる。
おまけにテレビ好きやし
そんなとこ乗って見てたら、オバチャンに怒られるで。
困った奴やなぁ、ほんまに。
ワテの居場所が、どんどんなくなるわ。
オバチャンのアイロンに甘えたろ。
これはな、チロのオトンやで。
えらいボロボロになって・・・。
時々、うちの庭で寝たはるわ。
まぁ、しゃ~ないな、ワテも寝るしか仕事ないし。
夕べ、久しぶりにオバチャンが一緒に寝てくれたんや。
けど、夜中に、部屋から放り出されてしもうて・・・ぷんぷんや。
これから、もっと暑い日になるんやなぁ~。
オバチャンがな、今年の半年は
何やったんやろうと、ため息、ついてたわ。
病気になったんや
あんな、ワテな、ずっと前から憂鬱やったんや。
オバチャンがな、「コバン、どうしたんや?
なんやつまらん顔してるなぁ」って、言うんや。
でもな、ワテも、よーわからんけど
なんか、いつもと違うんや。
そしたら、昨日、ヨダレが出たまま、とまらへんねん。
オバチャンが、びっくりして、
すぐに病院に
連れて行ってくれたんやけど、恐かったわ。
1ヶ月、効き目の続く注射を2本されたわ。
けど、痛となかったで。
オバチャンが「コバン、おりこうやったな」って言うてくれたけど
なんや、しんどいねん。
前にみたいに
こんな大きな口開けて、あくびも出来へん。
「「コバンの優雅な暮らし」とちゃうで。
「コバンの憂鬱な暮らし」や。
いややなぁ・・・。
ほんまに治るんかな、今日もヨダレで、べたべたやん。
オバチャンは、アルコール消毒液で、
ヨダレの跡を拭きまくってるわ。
あぁぁぁ、つまらんなぁ。
気持ちよい風が吹く5月やのに・・・。