チロのおかん
引きこもりのチロのオカンが
近頃、ワテらに姿を見せることがあるんやで。
これがチロのオカン。
ワテは、美ネコやと思てるけどな、
けどまぁ、ワテの好みやないにゃ。
これが、チロや。
やっぱり親子や、よー似てるやん。
チロはテレビばっかりみてるで。
何を見てるんや。
ずっと見てるで。
立ち上がって見てるで。
何がおもろいのやろう。
兄さんは、チロをどう思う?
「ウン、なんや、つまらんにゃ」
「サンルームのええ場所、チロに取られるしな。」
「わしは、チロのオカンが好かんわ」
けどな、兄さん、チロには、優しゅうしたってな。
オバチャンがな、チロは賢い子やて、言うてるわ。
黙って、じっとワテらを観察してるってさ。
まぁ、確かに、チロ親子は、不気味やにゃ~。
■
「京都の桜は、綺麗や」って、
オバチャンは、うっとりして言うんや。
そんなんどこでも一緒やと思うけどな。
まぁ、オバチャンは、京女やから、しゃーないねん。
京都愛なんや。
けどな、今、人間は、コロナちゅう恐い疫病が
流行ってるんやて。
それでも、オバチャンは、マスクして、
ひとりで桜を見に行ったで。
大丈夫か、オバチャン家に居ててや。
オバチャンが居てへん時、
チロのオカンが、ワテらの部屋、覗きよるねん。
オカン、恐い顔しとるわ。
チロはなぁ、ワテらの部屋に入って来たら
テレビばっかり見てよるわ。
あの子、テレビっ子やにゃ。
こんなとこから、見てることもあるんやで。
ひゃ~、テレビ好きゃなぁ。
ワテは、あんまりテレビ、見ひんで。
なんや、よーわからんし・・・。
時々、テレビから、猫の声がしよる、それは
オバチャンが、猫の番組見てるんや。
オバチャンもテレビばっかり見てるにゃ~。
兄さんも、ワテもこの頃
チロが部屋に入ってへんか、
覗く癖がついてしもうたわ。
なんや、これじゃ、ドロボウ猫やん。
オバチャンが、今日いっぱいワテらの生活必需品って言うやつを
買って来てくれたで。
けど、美味しいおやつがにゃい・・・。
オバチャン、ケチったにゃ。
春やにゃ~
ノラのチロとお母さんを
去年の12月の始めに
うちのオバチャンが、家に入れてやって
もう三ヶ月になるんやにゃ。
人間の世界は、なんやコロナちゅうて、
コワイ病気が流行ってるんや言うて、
オバチャンは、毎日ワイドショウー見てるで~。
ワテも、病気やろうか・・・
なんや近頃、食欲がのうて、元気ないねん
くしゃみが、よー出て、涙も出るねん。
オバチャンは、花粉症やて言うねんけどなぁ・・・。
ワテは、心身症やと思てる。
チロは、夜になったら、1階の居間に降りてきよるねん。
ほんで、じっとワテらを覗きよる、そしたら
チロのこわいオカンが、汚い声で
チロを呼びよるねん。
チロも可哀想やな、あんな恐いオカンで・・・。
ホントは、ワテらと友達になりたいんやで。
兄さんもな、チロに、優しいんか、恐いんか、よーわからへん。
兄さん、この頃、ワテの横に来て、
ひっついて寝るねん。
なんや、うっとうしいなぁ。
ワテは、オバチャンと寝たいねん、けど、
兄さんが、ここで一緒に寝なアカンて怒るねんや。
かなんにゃ~。
オバチャンは、チロが、ワテらと仲良うなるように
チロが居間に入ってきたら、
美味しい缶詰をくれるんや。
そりゃ、ええわ。
チロ、調子にのって、
ワテらのオアシスの水まで飲みよるわ。
まぁ、ええけどな。
チロはチロなりに、ワテらに気つこてるんかいにゃ~。
花粉症って~
オバチャンは、毎日
「コロナ、コロナ」って、テレビばっかり見てるがな。
コロナって、なんや、
わてなぁ、昨日からくしゃみと鼻水が出るねん。
今朝もオバチャンの腕の中で
「クシュ~ン」って、オバチャンの顔に鼻水飛ばしたわ。
そしたら、オバチャンは、
「コバン、花粉症やな」て言うねん。
花粉症って何や。
オバチャンは、毎年ひどい花粉症で、
「マスクがないと生きていけへん」て言うのに
今年は、マスクがないと言うて困ってるわ。
ほんで、ワテ、涙も出るねん。
これが、花粉症ちゅうもんかいなぁ~
兄さんは、オバチャンが見るテレビの邪魔ばっかりしてはる。
そのうちに、オバチャンに怒られるで~。
ワテは、なんや、うっとうしいな、こんな時は寝たろ。
チロのこと、もうどうでもええわ。
あの子は、ワテよりもしっかりした子や。
ネコの日や~
2月22日は、「猫の日」やて。
そんなん誰が決めはったんやろう。
まぁ、ワテは毎日が「猫の日」やし、
どうでもええねんけどな、
オバチャンが、ちょっと上等な缶詰を買って来てくれるんや。
いつもの安物と違ごうて、やっぱ美味しいわな。
オバチャンは、ネコとのつきあいが古いらしいわ。
オバチャンが幼稚園の時に
園長さんから、
「この子(白猫♂)は、祇園で生まれた、ええ子やで、もろうたげて」って
言われて、オバチャンのオカンが、もろうて来たんや。
祇園育ちのお坊ちゃまやから
その当時には、珍しい完全室内飼いやったそうや。
それからオバチャンのネコ愛が、始まったみたいやで。
この子も、ワテみたいに、むりやり家に入って来て
オバチャンとこの子にしてもろた「黒ちゃん」って言うねん。
これは、ワテが、オバチャンとこの庭に流れ着いた時や。
うへへ~、ちと恥ずかしいにゃ~。
今は、こんなにイケメンやのにニャ~。テヘヘヘ~
兄さんも、可愛かったそうな。
ついでに言うたらな、
この時、ワテと一緒に、住み着いた白猫さんは
庭で仔猫を産んでな、
オバチャンが、オッチャンの工場へ、親子で連れて行って
今は、その工場で幸せに暮らしとると言うことやで。
オバチャン、いっぱいネコの写真撮ってるのに
パソコンが変わるたびに、整理整頓の悪い、ええ加減なオバチャンやから
紛失したり、消してしもうたりしてるんや。
ほんまにもう!!
ほんで、チロが庭に来た時の顔。
これが、チロのおとん。
これが、チロのオカンが初めてオバチャンの庭に来た時。
これが、チロのバーさんやと、オバチャンは言うてる。
おっぱい飲んでる子猫のどれかが、チロのオカンらしいて。
ほんまかにゃ~
三代続いた筋金入りのノラやな。
「猫の日」だけ可愛がらんと、毎日ネコを愛してや。
ほんで、オバチャンが作るネコ雑貨も、よろしゅう頼んまっさ~。
チロちゃん
「なぁ、なぁ、チロ、
家の子のなぁ、お座りは、こういうふうに座るんやで」
「しっかり、足を隠して、上品に座るんやで、
そやそや、よう、覚えときや」
オバチャンが、チロも階下に降りて来て
ワテらと仲良うなれるように
チロが、顔を出したら
美味しいキャットフードで、下に降りるように誘うんや。
なかなか、オバチャン、やるな~。
ワテも、チロに、「2階におらんと
階段降りてきぃや」って言うねん。
一緒に上等な缶詰もらえるし、そりゃ、うれしいわ。
あいつ、ガツガツ食べよる、まぁ、ノラやったしな、
こんな美味しいもん食べたことないわな、
しゃ~ないわ、チロに全部やるわ」
「オバチャンを見てるんか?
オバチャン、あれでもけっこう優しいねんで、
チロも可愛がってもらえるで」
あっ、2階でチロのオカンが、チロを呼んでるわ。
チロのオカン、コワイなぁ~。
ワテらと仲良うしたら、アカンって言うてるんや。
かなんなぁ~、一緒に遊びたいのに。
チロのオカンは苦手や。
なぁ、なぁ~、オバチャン~
うちの兄さんはな、
オバチャンが、テレビを真剣に見始めたら
必ず、テレビの前に座らはるねん。
自分のほうを見て欲しんやて。
ワテは、そなんアホなことせえへんで~。
オバチャンが、パソコンの前に座ったら
ワテは、後ろから
「なぁ、なぁ、オバチャーン」って甘い声で啼くねん。
けど、オバチャンは知らんぷりや。
「ちょっと、オバチャン!!オバチャン!!」って、服、引っ張るねん。
アカン、オバチャンに無視された・・・
な~んや、つまらんにゃ~