それからあの子は~
ワテな、なんや庭、見るのが癖になってな。
そしたら、
「コバン、庭見てても、あの子おらんで」と、振り向いたら
兄さんが言うねん。
兄さんがな、2階のテラスに行ったら
こんなパーティションが出来てたってさ。
この家は、オバチャンが中古の家買うてな。
前の持ち主さんが、
外壁の空間に、細長いサンルームのテラスが作ってはってな、
窓から、外が、サンルームやねん、狭いけどな。
きっとあの子のお母さんは、
窓から出たら、外に出られると思うやろうな。
エヘヘヘ~。
このサンルームの南側は、日向ぼっこするのは
そりゃ、ええとこやで~、
兄さんと団子になって、日向ぼっこするワテらの天国や。
えぇぇ~、そこもあの子に貸してあげるんかい。
オバチャン、ええかげんにしてや。
ワテと兄さんの一等地やで。
そんなことしてもなぁ、
あの子やら、心開けてくれへんと、ワテは思うわ。
あらら、一等地で日向ぼっこしてよる、ワテの場所・・・。
しゃ~ないなぁ、しばらく貸したるわ。
そのかわり、ワテらと仲良ようしようぜよ。
仲良う出来たら、このパーティションを取っ払うってさ。
アカン、またお母さん、ワテの顔見たら、引き籠もりよったわ。
ノラのお母さんは、うちのオバチャンより2枚も3枚も、うわ手やわ。
オバチャン、がんばりや~。
ワテは、暖かい部屋で寝てるし。
めんどうなんイヤやし。
兄さん、サンルームで、あの子、見てるんかい。
よろしゅう頼んまっさ。